新見市 哲西町
巨木探訪:哲多町(3)〜哲西町(3)
車に戻り眼前の道をそのまま直進。
次は哲西町に向かうのだが、途中でちょっと寄り道。
以前哲西町を探訪した際、帰り道に寄った荒戸神社、ここにはケヤキの巨木があったのだが、夕暮れであったために十分な検証ができていなかった。
この際、再探訪しておこう。

地図と睨めっこしながら山中の道を進んで行ったが、途中で迷ってしまった。
さすがに1:50000では無理か…
とりあえず出たところは県50、そこから少し西進して見覚えのある箇所(県157と県50が合流する地点)から改めて荒戸神社へ。
先回は道沿いのケヤキがいちばん大きいと思っていたのだが、ちょっと山側に入ったところに立っているケヤキが最大か…?
境内のイチョウとスギも目測幹周約3mくらいはありそうだ。

                ケヤキ
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ここから哲西町へ。
目的はTOさんと話題になっている「苗代桜」である。
現存はしているらしい。
しかし所在地がいまいちはっきりせず、私の情報とTOさんの情報が一致しない。
これだけは是非とも確認しておきたい樹である。

私のデータによると、所在地は哲西町大野部の岩倉八幡神社(以前、イチョウで探訪した)の横の道を入って行った先あたりにあるはず。
荒戸神社から県50に出て、一路西へ。
途中で県313に左折し岩倉八幡神社に到着。
ここまで、わずか5分。(^_^)v
神社の東側にある細い道を抜ける。
300mほど進んだ右手に最初の民家があり、ここがいちばん所在地の地番が近い。
しかしこの家ではない。
なぜなら「苗代桜」は地元の人々がそれを見て苗代を作るから「苗代桜」なのだ。
地元の人々から見える位置になくてはならない。

もうちょっと先に進む。
地番は違ってくるのだが、この辺か?
四辻で止まり周囲を見渡す。
近くに桜は咲いているが、それは普通のサクラ。
もしかして「苗代桜」は咲く時期が遅いのか、とも思ったが、それでもそろそろ誰しもが見える位置で咲き始めているだろう。
ここは見当違いのようである。
これ以上探しても無駄だと思い、来た道を引き返した。
道すがら見ても該当するような樹は見当たらない。

先ほどの最初の民家の位置まで引き返した。
ふと見ると、庭先に野良着の民家の奥さんがいる。
一瞬の躊躇の後、奥さんに声をかける決心をした。
車を止めて、にこやかに。
「すみません。ちょっとお尋ねしたいのですが、この辺に苗代桜という大きなサクラはありませんか?」
「それじゃったら、ここの向こうのサクラかなぁ?」

おお、手ごたえあり!
奥さんは東に見える民家の方を指差し
「あの家の裏手に高い樹がありましょう、その傍の竹藪の辺に見えるサクラがあるんじゃけど…そういやぁ、今年は咲かんかったかなぁ?」
これだ、これに違いない!
地番的にもそれらしい。
「あそこに行く道はありますか?」
「その下にゴミステーションがあったでしょう、そこから入って行けるよ。」

それは先ほどちょっとだけ登った道だ。
今度は意気揚々と進んで行くと、道は確かに山間に一軒だけ建っている民家に続いていた。
そのまま突っ込んで行ってもいいのだが、それではあまりにも無防備。
誰が何の用でここまでやって来たのか、と怪しまれかねない。
民家から離れた位置に空地があったので、そこに駐車して歩いて行った。

近づくと民家の右手の倉庫の傍で婆さんが畑仕事をしている。
とりあえずこの婆さんに聞いてみよう。
「こんにちはー!ちょっとお尋ねしたいのですが…苗代桜というサクラを捜しているのですが、さっきあそこの家で聞いたら、こちらの家の方にあると言われたもんで…」
「へぇ、そりゃあここの裏手にあるサクラかな?今年は咲かんかったようなけど…」
「すみません、そのサクラの所まで入って行っていいですか?」
「ほん、そこの横からなぁ、奥に入って行ったらあるわ。」

婆さんの許可を得て進入。
先ほどの奥さんの言った『大きな樹』まで行ってみたが、途中にサクラの樹は無い。
あれ、するとこの樹がサクラか?
いやいや、これは巨木ではないしサクラっぽくはない。
もう数メートル進むと朽ち果てた樹があった。
うーむ、もしかしてこっちか?
しかし、これまたサクラの面影は無い。
うろうろしていると婆さんが下から声をかけてきた。
「その奥の腐っとる樹がサクラじゃで。」

ああ、やはりそうだったのか。
眼前の樹は完全に終わっている様相。
周囲には折れて落ちた太い枝も見られる。
残っている細い枝も生きているのかどうなのか…?
今年は咲かなかった、という証言から、もう蘇ることはないのだろう。
苗代桜、一目見たかったが消滅。
しかしこれで納得することはできた。
婆さんにもう一度礼を述べ、サクラを後にした。
(写真の3つの建物のうち、いちばん右にある倉庫の真上あたり、スギ林に入ったあたりが所在ポイントである。)

  サクラ  サクラ
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