新見市
巨木探訪:新見市(10)
成羽町(6)から、続きます。 

さて、いよいよ「上熊谷のアベマキ」である。
西江邸に立ち寄ったものの、まだ探索には十分な時間がある。
ちなみに前回の探索から1年近く経つが、その間にネットで新しい情報を仕入れることはできなかった。
条件は何も変わっていない。
ただ、もしかして探訪された“山の神さん”の記述自体に誤りがあるかもしれないと思い、
今回は上黒谷に直通の道を通らず、途中から下黒谷に通じる道を上り、そこから逆方向に上黒谷にアプローチしてみた。

下黒谷に通じる道を走っていると、犬を散歩させているおじさんがいたので尋ねてみた。
「あのぅ、この辺に大きなアベマキの樹がありますか?」
「アベマキ言うたらあれかな、シイタケの原木やこうにする・・・」
「そうです、そうです。上黒谷に幹周りが5mにもなるアベマキがある、と聞いたもので。」
「ほーん・・・大きいアベマキはあるけどなぁ、5mいうような大きいのは聞いたこともねぇなぁ。どこで知ったん?インターネットかな?」
「はい、インターネットにも載っていて、100mほど林道を入った個人の別荘の手前にあるらしいんですが。」
「別荘じゃてぇ!?そんなもんはこの辺にゃあないで。」

うーん、さっぱり要領を得ない。
おじさんに礼を言い、とりあえず地図上で怪しそうな場所、目についた林道、と探索してみたが、どれもハズレである。
そうこうしているうちに、逆周りで上黒谷集落の入口にまで来てしまった。
“山の神さん”の記述が間違っていないとすると、やはり集落入口の手前に林道があるはずである。
確かに入口近くには2本の林道があるのだが(前回は夏草に阻まれて撤退した)、1本はすぐに行き止まり、もう1本は100mどころか延々と下り方向に続いている様子、これはどちらも違う。
こうなるともうお手上げである。
それ以上のヒントも発見もない。
はるばるとやって来て残念ではあるが、諦めることにした。

帰りは下熊谷に通じる道を一直線に下ることにした。
“山の神さん”が紹介していた「下熊谷のケヤキ」に出会えるかもしれない、と思ったからである。
“山の神さん”は「上熊谷のアベマキ」を探訪する際に、県319側からの道が通行止だったためこちらの道を登って行ったところ、渓流沿いで偶然ケヤキを発見したそうだ。
こちらの道は確かに渓流沿いだし、案外簡単に見つかるかも・・・。

下っていくこと約1km、小さな橋を渡った途端に右手のケヤキに気がついた。
大きな岩の上にどっかりと乗った形で、根が岩を包み込んでいる。
樹下に小さな祠があるところを見ると、岩とケヤキがワンセットで信仰対象になっているのだろうか。
なかなか迫力のある姿である。
“山の神さん”には申し訳ないが、実はこの場所は地図上では上熊谷なので「上熊谷のケヤキ」と呼ばせていただく。

「上熊谷のケヤキ」

  ケヤキ  ケヤキ
地図はこちらへ

本日はこれで終了。
アベマキは発見できなかったが、いろいろと素敵な樹に会えた。
最後にアベマキについての考察である。
現在のマピオンやヤフーの地図はゼンリンの住宅地図と提携しており、精度は高い。
にもかかわらず、件の場所付近に建物(別荘)は記載されていない。
そして“山の神さん”がアベマキを訪れたのは2002年、またもう一人の方は2007年である。
マピオンおよびヤフー地図が改定されたのは約1年前であるから、もしかしてその間に別荘自体が失くなってしまい、そこへ続く林道も消滅してしまった可能性もある。
そうなるとアベマキの所在はもう永遠の謎である。
どなたか御存知の方がおられたら、是非とも教えてくださるようお願い致します。

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