西粟倉村
巨木探訪:西粟倉村(2)
次は『粟倉神社のヒノキ』。
国373まで引き返し、200mほど下ると道路沿いに粟倉神社がある。
駐車場も道路沿いにあるので車を置き、石段を登って行くと、境内に入る手前右手に大ヒノキが立っている。
境内まで進んでヒノキと正対。
幹周は5.8mで県下第一位。
幹は3幹に分かれ、重みで裂けてしまわないように2箇所で縛られている。
樹高も相当あるが、特筆すべきは樹肌の美しさであろう。
ヒノキ特有の赤味のある樹肌ではなく、かなり白っぽい樹肌は神々しささえ感じられる。
御神木なので当たり前といえば当たり前であるが、思わず幹に手を当て願掛けをしてしまった。(何を願掛けしたかは秘密である。)
今まで見てきた巨木の中でも最も美しい樹ではないだろうか。
いつまでも見ていたい樹であった。

    ヒノキ   ヒノキ
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後ろ髪を引かれながらも次に行かねばならぬ。
粟倉神社の正面から右手に伸びる道を辿って行くと、智頭急行『西粟倉』駅の傍に出る。
ここで左折して高架の下を潜ったところで右折。
智頭急行の駅を見るのは初めてであるが、先ほどの『あわくら温泉』といい、この『西粟倉』といい、実に簡潔質素な駅である。
ただ乗降するだけの駅…ま、こんなものであろうか。

右折してそのまま100mも直進すると木工房がある。
そこから左手の山に向かって伸びる道を進む。
左手にバラックがあったのでとりあえずそこの前に駐車し、ここからは徒歩。
道が左にカーブし、もうちょっと進んだところの路傍で草に埋もれた名木百選『長尾のツクバネガシ』の杭を発見。
しかし、どう見てもここにツクバネガシは無い。
となると、そこから右手の木立の中に向かっている山道、その先にあるのではないか?

草に覆われた道を30mほど進むとスギの木立となる。
もちろんその中にツクバネガシは無い。
さらに10mほど進む。
すると木立の向こう、灌木が茂っている斜面に枝を広げている樹が見えた。
その姿は先日探訪した「赤石山のアベマキ」に似ている。
これだ、これに違いない。

歩を進めるものの道は無い。
せっかくここまで来たのだ、と、意を決して足元の悪い斜面を登り、灌木を掻い潜り、遂に樹の所まで辿り着いた。
この場所にはもともと柴尾神社という神社があったそうだが、その名残は無い。
樹下は少し広くなっているが、今となっては訪れる人もいないのではないだろうか。
樹の姿よりも、ここまで辿り着いた自分を誉めたくなった。
樹行とは本当に宝探しの旅である…。
                ムクノキ
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