笠岡市
続古寺巡礼その5 遍照寺
1月24日、笠岡市へ。
目的は国重文の遍照寺の多宝塔を見ることである。
この遍照寺は笠岡市の区画整理事業で、昭和52年に街の中心部から西の浜というところへ移転したのだが、何故か多宝塔と大イチョウが元の位置に残されている。
多宝塔は将来遍照寺の境内に移築されることになっているとの説明があるが、寺が移転してから約35年もそのままに残っているのは、国の重文であるため、現状変更に対して文化庁の許可が出ないのであろうか。
まずは西の浜の遍照寺を訪問。
この本堂は建築の時代はよくわからないが、方五間で屋根は宝形造、簡素であるがとても端正な建物で好感が持てる。(写真1)
本堂の横にロウバイが咲いていて、春の気配を感じる。(写真2)
次に街なかの多宝塔へ行ってみる。(写真3)
この多宝塔は慶長11年(1606年)の建築で県内の多宝塔の中では最も古い。
明治時代に改修した際に、もともと漆喰で固めてあった亀腹(1層の屋根で2階部分の基壇となっているところ)を瓦葺に変えている。
そのためか全体に野暮ったい感じがする。
多宝塔の亀腹は通常白漆喰で、そこが意匠的にアクセントになって塔の姿を引き締めているので、亀腹はやはり白漆喰に戻してほしいところだ。
多宝塔の横には大イチョウがあり、推定樹齢約400年で、枝が垂れさがっているため遍照寺のしだれいちょうと呼ばれている。(写真4)
この木は移転するわけにもいかず、この位置にずっとあるのであろうか。


前へ  一番上へ  目次へ  後へ