宮津市
続古寺巡礼その97 智恩寺
10月8日、天橋立へ旅行に行った際に、すぐそばにある智恩寺を訪問する。
寺伝によれば、大同3年(808)平城天皇の勅願寺として開基された。
山門は江戸時代中期の建物で組み物が大変見事な二重門。(写真1)
建築時に後桜町天皇から黄金が下賜されたことから黄金閣と言われている。
山門で閣の呼称があるのは、知る限りではこの建物だけだ。
ちなみに後桜町天皇は今のところ最後の女帝である。
本堂は宝形造りで、屋根は銅板葺となっているが、元は檜皮葺だったようだ。(写真2)
本尊は日本三文殊のひとつとして有名な文殊菩薩であるため、文殊堂と呼ばれている。
国の重文の多宝塔は明応10年(1501)の建立で、均整がとれていて大変美しい。(写真3)
雪舟の傑作に天橋立図があるが、この塔が描かれていることから、1501年から1506年(雪舟の没年)に描かれた雪舟の最晩年の絵であることがわかる。
この絵はたいへん写実的に描かれており、現地で写生したと思われるが、1420年生まれの雪舟は80歳を超えていることを思えば驚異と言えよう。
境内には他に禅宗の寺らしい切妻の庫裡と、その前にある竜宮門が見ものである。(写真4)

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