奈良市
続古寺巡礼その25 元興寺
5月2日、奈良の2日目は元興寺から。
この寺は奈良公園からわりと近くにある。
日本最古の本格的な寺院である飛鳥の法興寺が前身で、平城京遷都の際に移転して元興寺になったとのことである。
この元興寺には国宝の建造物が3棟あって、歴史的建造物の好きな人は必見と言える。
本堂である極楽坊(写真1)とその後ろにある禅室(写真2)(写真3)は、奈良時代の僧房を鎌倉時代に改築したもので、柱などの部材や瓦の一部は飛鳥、奈良時代のものが使われているそうだ。
この二つの建物の屋根は、上部が細く下部が太い独特の瓦を重ねていく、行基葺(ぎょうきぶき)と言われる古い手法が使われている。(写真4)
この瓦の一部におよそ1400年前の飛鳥時代のものがあるというから驚きである。
もう一つの国宝建築物が五重塔小塔である。
収蔵庫に安置していて、奈良時代のもので、高さは約5.5メートル、内部構造まで忠実に造られており、建造物として国宝に指定されている。
前日訪問した室生寺の五重塔を屋外にあるものとしては最小と言ったのは、このような屋内塔があるからである。
屋外の塔はどうしても傷むため、色々と手が加えられているが、この塔はずっと屋内にあったため傷みが少なく、奈良時代の五重塔がそのままの形で残っていて大変貴重なものである。
じっと見ていると、時を旅して平城京の都大路に立ち、五重塔を眺めているような気持ちとなる。

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