斑鳩町
続古寺巡礼その27 法輪寺
法隆寺の東院(夢殿)に行こうと思ったが、人が列をなしているので敬遠する。
その隣にある中宮寺の弥勒菩薩も気になったが、以前見たときの記憶がまだ鮮明に残っているので、こちらも今回は遠慮しよう。
これらは、また見に来る機会もあるだろう。
と言うのも、法輪寺と法起寺の塔を以前から一度見たかったので、そちらに行くことにする。
まずは法輪寺。(写真1)
法隆寺、法輪寺、法起寺の塔は斑鳩三塔と呼ばれる飛鳥時代の塔であったが、法輪寺の塔は太平洋戦争中の昭和19年に落雷により焼失した。
このとき、塔にあった避雷針が、戦時の金属供出により取り外されていたというから、戦災としか言いようがない。
戦争と言うもののばかばかしさを痛感する。
その後、作家の幸田文をはじめ、多くの人の尽力のよって昭和50年に塔は再建された。(写真2)
再建を担当したのは、宮大工の神様西岡常一で、美しい姿が斑鳩の里によみがえった。(写真3)
この寺には飛鳥時代の作と言われる仏像が二体あり、江戸時代に再建された金堂(写真4)に安置されていたが、今は鉄筋コンクリートの収蔵庫に安置している。
これらの仏像は国の重文に指定されていて、法隆寺や中宮寺のあまりにも有名な国宝の諸仏に比べて地味な存在であるが、なかなか素晴らしいもので一見の価値がある。

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