斑鳩町
続古寺巡礼その28 法起寺
法輪寺の次は法起寺。
気候も良く、斑鳩の里の風情を楽しみながら歩くのは気持ちがいい。
やがて、法起寺の塔が見えてくると、わくわくしてくる。
一見して、直前に見た法輪寺の三重塔とよく似ている。
斑鳩三塔は、逓減が大きいこと、雲肘木という組物を使用していることなど、共通の様式が多々ある。
この塔は飛鳥時代末期の706年の建立とされており、現存する三重塔としては最古の存在である。(写真1)(写真2)(写真3)
後の平安、鎌倉時代のような洗練された美しさとは違い、素朴で落ち着いたたたずまいで、見ていて心が安らぎ豊かになる。
塔は後の時代にいくらか装飾的な存在となったが、この時代は信仰の中心であったことを感じさせる。
三重塔の建立時期については、「法起寺三重塔露盤銘」という史料によって特定されているようだ。
この資料は実物が現存してなくて、不確かな引用文しか残ってなかったが、会津八一が引用文の誤写を指摘し、復元したことにより、露盤銘が信頼できる資料となったとのことである。
会津八一は歌人として有名で、あの全てひらがなで表記した歌はなかなか印象的であるが、このようなことを手がけているとは知らなかった。
たいしたものである。
この寺には他に江戸時代の元禄期に再建された講堂がある。(写真4)
講堂のあった位置に再建されたので講堂と呼ばれているが、実態的には本堂であろう。
二層部分の壁が極めて低い重層の寄棟造りであり、意匠的にちょっと面白い。

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