葛城市
続古寺巡礼その30 當麻寺
5月30日、四天王寺の次は當麻寺へ。
ゴールデンウィークに奈良へ行ったときに、この寺も行きたかったのだが、行程的に苦しかったので断念した。
ちょっと心残りだったので、早速今回訪問することにした。
この寺の名前がついた近鉄の駅があってそれほど不便ではないのだが、奈良の他の観光地からは離れているので穴場のような存在である。
ここは、創建当時の東西両塔が現存している唯一の寺で、東塔(写真1)が奈良時代、西塔(写真2)が平安時代初期の建築で、いずれもバロック音楽のように典雅で美しい塔であり、共に国宝である。
東西両塔が残っている点でも大変貴重な存在であるが、個々に見ても屋外の塔としては、法隆寺、法起寺、薬師寺東塔に次いで東塔が4番目、西塔が5番目に古い塔となり、国宝の中でも屈指の古い建物である。
本堂は平安時代末期の建築で、これも国宝である。(写真3)
他には白鳳時代の日本最古の梵鐘(写真4)など数多くの文化財がある。
またこの寺には中将姫の伝説があり、折口信夫はこの伝説を基にして小説「死者の書」を著した。
このように、この寺は古い歴史と、その歴史に見合う見どころが数多くある、奈良の古寺の中でも屈指の存在である。
その素晴らしさのわりにはあまり知られていないと思うが、それほど観光地化していないため、ゆったりと古寺の風情を楽しむことができる。

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