岡山市
続古寺巡礼その31 上生院
6月12日、遠征が続いたので近くの寺へ行ってみようと思い、岡山市桜橋の上生院へ。
この寺は、奈良時代に備前国分寺の末寺として創建され、戦国時代には宇喜多直家から、江戸時代には池田氏から寺領を賜っていたと言われている。
昭和20年6月の岡山大空襲で被災し本堂他を焼失した。
さて、戦災を免れた山門を入ると、これも戦災を免れた二重塔がある。(写真1)(写真2)
二重塔は昭和10年の建立で、二重塔という形式はあまり例がなく珍しい存在だ。
二重塔は私の知る限り多宝塔の変形で、多宝塔の2階部分が円形ではなく方形になったものである。
この塔もどうやら多宝塔らしい。
昭和10年の建築は寺院建築としては新しく文化財等にはなっていないため、この塔の存在はあまり知られていない。
しかし、小さな塔ながら細部までしっかりと作られていてなかなか見栄えがする。
戦災で失われた本堂はRC造りで再建されており、やむを得ないということもあるだろうが、どうも味気ない。(写真3)
本堂の後ろには宝形造りの小堂があり(大師堂であろうか)、新しそうな建物であるが、こちらは木造であり何だかほっとする。(写真4)
やはり寺院建築は木造に限る。

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