赤磐市
続古寺巡礼その32 石蓮寺(廃寺)
6月20日、熊山の英国庭園に行った帰り、石蓮寺山に登ってみる。
この山には報恩大師が整備した備前48か寺のひとつ石蓮寺がかつてあり、往時は20数坊を数えたと言われているが、江戸時代の始めに廃寺となった。
その頃の門前集落の名残であると言われている集落が山頂付近にある。
今、往時を偲ぶものは、わずかに石造の十三重塔が残っているだけであるが、この塔がなかなか立派なものなので紹介しておこう。(写真1)(写真2)
この塔は鎌倉時代のものとされ、県下最大の石造塔で県の重文となっている。
この塔の近くに展望台があり、晴れた日には瀬戸内海まで見渡せると言うが、あいにくの天気で、それでもなかなかの眺望である。(写真3)
実はこの寺にはもうひとつ十三重塔と同じく鎌倉時代の作と見られる石造七重塔が残っていたそうで、こちらは明治時代に岡山市内の東湖園に譲り渡された。
この項を書くに当たり、東湖園を訪問してこちらの塔も見てきた。
東湖園は江戸時代初期の池泉回遊式庭園で、ほとんど当時のままの姿で残っている。
七重塔は園内の築山の中心に堂々と立っていて、全体の景観を引き締めている。(写真4)
ただ、仏塔をこのように景観目的のためだけに使うというのはいかがなものであろうか。

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