岡山市
続古寺巡礼その52 守福寺
乗典寺の次は足守の町を離れて下足守の守福寺へ。
この寺に国の重文の石造宝殿があるので、これは見ておこう。
ジェラートで有名な某牧場の傍を通って山の方に行き、途中から道が狭いので車を置いて歩く。
すぐに寺らしき土塀が見えてきたが、何やら怪しの雰囲気である。(写真1)
境内に入ると廃屋があるだけで、既に廃寺となっている。(写真2)
荒れ寺は好きなのだが、どうもここの雰囲気はちょっと気味が悪く、廃屋の中を見る勇気がない。
写真で見る限りでは本堂らしくなく、庫裡のような感じである。
さて、目的の宝殿であるが、鳥居の奥に忘れられたようにある。(写真3)
国の重文と言えば、文化財の中でも相当の価値があるものだが、このような扱いをされているものはあまりないであろう。
はっきり言ってこういった類のものはよくわからないのだが、この宝殿は王子権現を祀ったもので、南北朝時代のものであり、これだけ大きくて時代の古いものは全国的にも珍しいようだ。(写真4)
京都の神護寺に残る嘉応元年(1169)製の「備中足守庄荘園絵図」に守福寺の背後の山の中腹に王子堂が描かれていて、この寺の創立も平安時代までさかのぼるようである。
明治の中頃まではこの宝殿も背後の山に在ったが、一度盗まれ、運よく守福寺の住職が足守の町の古道具屋で見つけて買い戻し、寺の境内に移したそうである。
せっかくの重文なので、もう少し何とかならないものだろうか。

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