真庭市
続古寺巡礼その64 木山寺
3月19日、真庭市へ行ってみる。
まず訪れた木山寺は、神仏習合の形態を今も残す寺として知られている。
弘仁6年(815)弘法大師により開基されたと伝えられ、後にはこの地を領有した戦国武将や大名の庇護を受けていた。
明治時代の神仏分離令により木山寺と木山神社に分離され、木山神社はその後山麓に移っているので、一応神仏は分離されている。
しかし、この寺は鎮守神として木山牛頭天王と善覚稲荷大明神を祀っていて、これはそれぞれ薬師如来、十一面観音を本地仏とする垂迹神らしい。
この両本尊と御神体である牛頭天王・善覺稲荷を祀る鎮守殿が本堂裏にあり、鎮守殿と本堂はちょうど神社の本殿と拝殿の形式になっていて、寺院としてはかなり特殊である。
実はこの鎮守殿の存在を訪問した後に知ったのだが、十年余の歳月をかけて、明治18年に建立されたもので、彫刻、木組みなど大変見事だと言うことで、これを見なかったのは少し残念である。
訪問すると、まずいきなり鳥居があってなるほど神仏習合だと思う。
鳥居の先に山門があるが、これは「不老門」という名が付いている向唐門で、この寺に現存する最古の建築物で元禄元年(1689)建立である。(写真1)
さらに石段を登ったところに本堂がある。(写真2)
本堂は昭和30年に建てられた入母屋造りの妻入りで、長く張り出した唐破風向拝、花頭窓もあってかなり賑やかな感じである。
本堂から石段を降りた所に、江戸時代中期の建築である旧本堂の大師堂がある。(写真3)
こちらは、伝統的な形式の落ち着いた趣の建物である。
少し前に訪問した宝島寺で、寺に長屋門は珍しいと書いたが、この木山寺も客殿の前に長屋門があった。(写真4)

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