真庭市
続古寺巡礼その68 化生寺
妙円寺に続き、化生寺もすぐ近くにある。

殺生石の伝説が有名なので、その話を簡単に書いておこう。
中国からやってきた白面金毛九尾の妖狐は、美しい女性に姿を変え、玉藻前と名乗って鳥羽上皇から寵愛を受けていた。
やがてその正体を見破られ、栃木県の那須で退治されて石となったが、石になった後も毒気を吐き、通る人や鳥獣に被害を及ぼしたため、殺生石と呼ばれた。
その後、至徳2年(1385)に名僧玄翁が大金槌で打ち砕くと、石は三つに割れて飛び散り、そのひとつがこの地に飛来したものと言われている。
ちなみに、現在金槌のことをゲンノオと呼ぶのは、この伝説に由来しているとの説もある。
この寺は、その玄翁が明徳元(1392)に開基したと伝えられる。
化生寺という寺名は少し変わっているが、「かせいじ」と読む。
辞書で「化生」を調べると、「けしょう」と読み、「仏が人々を救うために人間の姿を借りてこの世に現れること」、あるいは「化け物、妖怪のこと」とある。
玉藻前は、化生の前(けしょうのまえ)とも言われたそうである。
伝説と深い関係のある寺名と言えよう。

訪れるとまず参道の雰囲気がとてもいい。
両側に梅の並木があり、訪問時にはちょうど花が満開で見頃であった。(写真1)
本堂は新築したばかりのような建物である。(写真2)
境内には殺生石が祀ってある。(写真3)
ただし表面に見えている石は殺生石ではなく、本物の殺生石は地中深くに埋まっているそうである。
もうひとつ庫裡の前の通用門が城の櫓門のようで面白い。(写真4)

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