京都市
続古寺巡礼その84 随心院
随心院は、醍醐寺のすぐ近く、小野の地にあり、小野一族出身の小野小町ゆかりの寺として知られている。
境内には小町が恋文を埋めたという文塚や化粧井戸があるが、小野小町自体多分に伝説の人であり、真偽のほどはわからないとしか言いようがない。
ここも勧修寺と同じで、門跡寺院として栄えたが、室町時代に兵火により焼失し、江戸時代に再興された。
本堂(写真1)を寝殿造りとして紹介している例が数多くあったが、これはどうであろうか。
寝殿造りは平安時代の貴族の邸宅の様式であるが、現存しているものはない。
寝殿を中心に左右に対の屋、釣殿を配した建物の配置や、桧皮葺、高床、蔀戸、丸柱などの建築の特徴をある程度取り入れた建築を一般に寝殿造り風と呼んでいるようだが、それとも少し違うようである。
建物の様式はともかくとして、書院等を渡り廊下で繋いでいる門跡寺院らしい風情が一般の寺院建築とは違って御殿のようであり、なかなか楽しい。
平安時代に思いを馳せ、伝説の美女小野小町を偲ぶには十分な雰囲気である。
山門の薬医門(写真2)は門跡寺院らしい重厚なものであるが、通常は使われていない。
拝観は庫裏の玄関から入る。(写真3)
山門の外に小町化粧井戸があった。(写真4)

前へ  一番上へ  目次へ  後へ