京都市
続古寺巡礼その85 長建寺
7月3日、この日は妻が伏見の十石舟に乗ってみたいと言うので伏見へ行き、乗り場の近くにあった長建寺を訪問する。
元禄12年(1699)、伏見奉行の建部政宇(たけべまさのき)が中書島開発の際、深草大亀谷の即成就院(現在は泉涌寺塔頭の即成院)塔頭の多聞院を移して創建された。
長建寺の名は、自らの長寿息災を願って、長寿の長と建部の建を取って名付けられたと伝えられており、何とも味気ない名称と思う。
正式な寺名は辨財天長建寺と言い、その名のとおり鎌倉時代の作と言われる弁財天が本尊である。
弁財天、帝釈天、大黒天などを天部と呼び、古代インドのバラモン教の神々を仏教に取り入れたもので、仏法の守護神あるいは現世利益的な福徳神の性格を持っている。
このような天部が本尊の寺は比較的珍しい。
寺の周辺は川に沿って酒蔵などがあって景観の美しいところで、朱塗りの塀や山門の竜宮門もその引き立てに一役買っている。(写真1)

境内にはかつて三十石舟や十石舟に時を知らせたという鐘楼(写真2)や、入母屋造り妻入りの本堂(写真3)がある。
京都市の寺は小さな寺でも市が設置した詳しい説明板がある。(写真4)
とても親切でありがたく、流石は国際観光都市だと思う。

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