岡山市
続古寺巡礼その89 上願寺
7月17日、岡山市足守の下高田というところにある上願寺を訪問する。
この寺は奈良時代の天平勝宝年間(749〜757)に報恩大師によって開基され、鎌倉時代の初期建久5年(1194)栄西により中輿されたと伝えられている。
その後衰退していたが、江戸時代になって足守藩主木下家から足守の陣屋の鬼門を守る祈願所として保護を受け、諸堂宇が整備された。
山門は江戸時代末期の慶応2年(1866)に建てられた三間一戸の楼門で、江戸時代らしい精緻な造りの堂々たる仁王門である。(写真1)
山門から本堂に向かう石段はいかにも古寺らしい佇まいである。(写真2)
本堂も江戸時代末期の天保5年(1834)に建立されたもので、入母屋造りの立派な建物であるが、山門に比べるとやや控えめな感じだ。(写真3)
本堂脇に珍しい形の鐘楼がある。(写真4)
ここにある梵鐘は南北朝時代のもので、県の重要文化財に指定されている。
銘文から、元は平清盛が造立したといわれる近くの清水寺にあったものということがわかるが、戦火で清水寺が焼失した後、どのような経緯でここに移ってきたかは不明とのことだ。

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