井原市
巨木探訪:井原市(3)〜笠岡市
疑問を抱きつつ、次に進む。
井原市の中心部から2.5kmほど西進すると高屋町である。
(井原市内で国486と国313が合流するので、この西進する道は国313である。)
高屋大橋の袂で右折して県103に入る。
川沿いに700mほど進むと右手に高屋小学校があるのだが、小学校の真向かいに高屋八幡宮がある。
ここにはかつて県指定であったエノキがあるのだが…

駐車場に車を停めて歩いてみたものの、エノキの巨木は見当たらない。
どういうことか、と思いながら参道を本殿の方に向かって行くと、高屋川を渡る小さな橋の手前左手にある樹に気がついた。
と言うか、正しく言えば樹下の石碑に気が付いたのである。
近づいてみると『県指定天然記念物』と刻まれており、指定日は昭和28年12月。
エノキは樹冠が欠けており、これでは指定解除されても仕方がなかろう、という姿なのだが…それよりもこのエノキ、たいした幹周ではない。
この程度の幹周のエノキであれば県内にいくらでもある。
当時、このエノキが何故に県指定になったのか、その方が興味深い。

                カゴノキ

せっかくなので境内を散策する。
すると真新しい本殿の横に、伐採されてしまった三幹のスギの株があった。
注連縄が張られているのでこの姿でも御神木のようである。
これは資料にも無かった。
どれぐらいの大きさのスギで、いつ伐採されたのか…現存していれば資料にも載った樹であろうと思われた。

神社を後に小学校横手の道に入る。
ここから山の方に登って行けば高山寺がある。
道筋の処々に案内板もあるので迷うことはない。
曲がりくねった道を登って行った先にある高山寺、ここにはモッコクの巨木がある。
モッコクとしては、おそらく県内でいちばん有名なのではなかろうか。
かつては県指定(昭和27年4月)であったモッコクは、昭和34年より市指定になっている。
根幹の皮焼け(枯死)のため、平成20年3月に樹医の治療を受けたとのこと。
見た目にはそんなに樹勢が衰えているようには見えないのだが…

           カゴノキ
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余談であるが、高山寺の本殿周囲にはあちこちにSECOMの表示がある。
『監視カメラ作動中』だと。
そうすると、樹の周囲をうろついている私の姿もカメラに収められているに違いない。
別にどうってことはないが…ここでも寺院の狭量を感じてしまった。

井原市の探索はこれで終わりである。
あとは帰るだけなのだが日没には少し早く、ここで思い出したのが「井立のネズ」である。
この樹の所在地は笠岡市になるのだが、前回この近辺を探訪した際にはあえて後回しにした。
結果的には時間が足りなくて回ることができなかったのだが、幹周から言えば巨木ではないからでもある(幹周2.7m)。
しかし市の指定を受けているし、ネズの樹としては県下第3位。
この地に赴くことは当分無かろう、と思ったのでついでに訪ねてみることにした。
万能地図を頼りに国486を東に戻り、矢掛町小田で右折して観音橋を渡る(県48)。
南下して小学校や公民館、駐在所や中学校のある北川地区を抜けて500mほど進んだところで右手の道に入る。
道なりに進んで行くと2kmほどで右手に井立池の堤防があるので、その少し先で右折。
堤防を進んで突き当たったところで左折。
池沿いに進んで行くと、池の西端の手前辺りで道路左手にネズの樹がある。
単体で立っている樹はやはり見栄えが良い。
根元には才の神が祀られている。
(美作高野の才の木もそうであったが、『才の神』は本来『塞の神』であるのに『才』と書くのはなぜだろう?)
樹下の赤いホース格納庫が樹とのコントラストを引き立てるとともに、この風景によくマッチしていた。

                カゴノキ
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これで本日の探訪は終了。
所在地や名称にいくつか疑問を残したままだが、結果的には巨木に会えたわけだし、良しとしよう。

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